涙道閉塞の治療は大きく分けて2種類あります。
涙道の閉塞を開放して流れるようにする『涙管チューブ挿入術』と、涙嚢から鼻腔に向けバイパス(吻合孔)を作る『涙嚢鼻腔吻合術』です。
涙道内視鏡および鼻内視鏡画像をモニターに映し、モニター画像をみたり、手術顕微鏡を使ったりして手術します。手術は局所麻酔で、通院で行います。手術時間は15分前後です。
涙道内視鏡で涙道内の閉塞部を観察しながら、閉塞を解除します。
閉塞が無くなった涙道に、直径1mmの涙管チューブを挿入します。
十分に麻酔をしますので、痛みはほとんどありません。
涙管チューブは約2~3ヶ月間留置します。
手術後約2週間ごとに通院し、涙管洗浄の経過観察が必要です。
手術翌日から、日常生活の制限はほとんどありません。ただし、埃をかぶること、プールなどは1週間ほど避けたほうが望ましいです。
涙管チューブ | 目がしらのところに見える涙管チューブ |
涙道内視鏡写真 涙道内のチューブ | 鼻内視鏡写真 鼻腔に出たチューブ |
涙嚢の鼻側は骨を隔ててすぐ鼻腔です。そこで、骨に小さな穴を開けて、涙道と鼻腔を直接つなぐバイパス手術を涙嚢鼻腔吻合術といいます。
吻合を作るために目頭から鼻の横にかけて皮膚を切り涙嚢や鼻の骨を露出し、直接観察しながら吻合を作る方法を涙嚢鼻腔吻合術鼻外法といいます。皮膚切開が必要ですが、もっとも確実な手術で、手術適応が広いです。
手術は静脈注射による全身麻酔で行います。
日帰り手術です。遠方からお越しの場合は、近くのホテルをご紹介します。
手術時間は30分~60分です。
術後鼻出血が数日続きます。
抜糸は約1週間前後。
通常の日常生活の制限がなくなるのは7日前後、プールや激しいスポーツ、埃仕事は約4週間後くらいからです。
鼻の中を鼻内視鏡で観察しながら、鼻粘膜や骨を切開し、吻合孔を作る方法です。皮膚の傷を作らず、術後の社会復帰が早いですが、鼻中隔湾曲症がないなど適応が限られています。
手術は局所麻酔で行います。
日帰り手術です。
手術時間は30分~60分です。
術後鼻出血が数日続きます。
通常の日常生活の制限がなくなるのは5日後前後、プールや激しいスポーツ、埃仕事は約2週間後からです。
鼻涙管閉塞のため、涙嚢に涙がたまり、そこに細菌感染を起こした状態を涙嚢炎といいます。特に急に眼がしらが赤く腫れ、疼痛を伴い、目の鼻側に目やに(濃)がたまった状態を急性涙嚢炎といいます。
抗生剤の点滴、内服で消炎させますが、ひどい時は皮膚を穿刺して、涙嚢内の膿を出す必要があります。
炎症が収まってから、涙嚢鼻腔吻合術を行います。